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自作小説(短編中心)と書評(というか感想文)。 ジャンルはミステリィが主体です。
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2007.03.30 Fri
 北国の岬に、斜めに傾けて立てられた館と塔。聖夜に始まった惨劇は、幾重もの謎に包まれた密室殺人だった。残されなかった足跡、踊るようなポーズの死体、バラバラにされた人形、鍵の掛かった部屋に凶器に結ばれた白い糸。容疑者たちに動機は見えず悉くアリバイが証明される。全ての謎に合理的な解決を与えることが、探偵御手洗に、そして読者である貴方にはできるのだろうか。

 珍しく再読です。
 二年位前に所属していたミステリィ研究会の冊子に、〈密室〉をテーマにしたレヴューを書いてくれないか、と頼まれて、私が選んだのがこれでした(ちなみに今月末が締め切り、今日3/30、たった今ギリギリ書きあがったところです)。
 というわけで以下その原稿をコピペします。だから若干表現が硬かったり、語尾がですますじゃなかったりしますがお気になさらず。

 本格ミステリィとは何か。
 この問いについて考えたことのないミステリィファンは殆どいないだろう。……と書き出してはみたが、もう語り尽くされた題だし、語り尽くしたところで大した成果は得られないことは明白な事実である。何故なら、その問いに答えるには一冊の本物で十分だからだ。
 ――「斜め屋敷の犯罪」。「占星術殺人事件」と共に、大御所島田の代表作として知られている。あまりにも有名であるために、紹介する方が気恥ずかしくなるくらいの作品である。しかしミステリィを、特に〈密室〉を語るには、避けて通れない作品であることも確かだろう。

 出版は一九八二年。文体は確かに古いし、登場人物たちの言動や性格も昭和を感じさせる。乱歩・横溝が好んだ怪奇趣味や、清張が生み出した社会派推理の影響も色濃く見られ、それらは現代の読者からは敬遠されることもあるだろう。それでも「斜め屋敷」は、平成も二十年になろうとしている今でも強烈な輝きを放っている。
 理由は幾つか挙げられる。魅力的な謎の数々、緻密に張られた伏線、フェアな本格にだけ許される〈読者への挑戦〉、そして名探偵による鮮やかな解決……。しかし何よりそのトリックの、芸術的なまでのシンプルさこそが、この作品を不屈のものにしている。

 この小説において、読者が犯人を指摘することは、決して難しいことではない。というより、大方の読者は――ミステリィを始めて読む人でも――どう考えてもこいつが怪しい、と自信を持って読み進めることができるだろう。
 だが肝はあくまでハウダニット、密室を成立させた方法なのだ。
 人間心理の盲点を使った密室ならぬ密室、などではない。ましてや最近流行の叙述トリックなどとんでもない。島田は最も正当な密室で――即ち真正面から物理トリックで読者に挑んだのである。
 物理トリックというと、針と糸を使ったちまちました密室を思い出し、眉をひそめる人もいるだろう。だが「斜め屋敷」で犯人が用いたのは、そんな程度のトリックではない。作者の頭を覗いてみたくなるくらい奇抜で、犯行の瞬間を想像するだけでその光景が脳裏に焼きつくような、大仕掛けなのである。
 手数としてはたったの一手。
 にもかかわらず、島田の見せ方の巧みさも相まって、非常に衝撃的な一手である。
 このトリックに関して、リアリティがどうのといった子供じみた揚げ足取りをするのは無粋である。素直に作者に拍手を送りたい。

 ――実は書くのに二時間かかりました。言葉選ぶのが大変で……。
 だから手抜きじゃないんだよ。いやまじで。

 ……すみません手抜きです勘弁してください……。
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